774 の感情／ feat.Δ

作者コメント
「ひとつ、ひとつ落として往く」
この歌いだしから始まる７７４の感情という曲は、或る季節の変わり目に吹く、新たな風が吹く日の、あの、期待や向上心ではない、何とも言えない不安な気持ちから描かれました。
その意味からリミックスを依頼するにあたり、上辺だけではない芯から、感情を表現するクリエイターに頼むことはこの構想を始めたときから考えていたことです。
ボカロ楽曲を投稿するΔさんは、まさしくその適任者でした。
リリースされた楽曲群のどれもが、複層化したローレンジから、突き抜けるようなハイレンジまで、一辺倒ではなくそれぞれが感情を持ち、常に蠢いているような、そんな印象を持っています。
本作品もまた、その楽曲群の様に激しく、激情的に描かれるものだと思っていましたが、蓋を開ければ全く想像していなかったものでした。
７７４の感情という曲は少し不安定で、常にボーカルのピッチが揺れています。
そんな不安定な曲を、煌びやかなピアノ旋律に乗せたシンプルなリミックスとなりました。
このままきれいに歌い上げるのかと思えば、
ああ、この音だ。とこの方の楽曲を想起させるエグ味のあるシンセが叫び出します。
スケール感、タイム感、テクニック、そうした計算され尽くした現代の音楽には見られない、まさしくその感情が表現されているようです。
全体的に静かに、自問自答が反響し合い、決して表には現れないような。
夜の自室で悶々として、葛藤するような。
そんな「静かな激情」を表現していただきました。